絵の中の人と話した

先月ずっと描いていた油絵を、コンクールの会場に搬入した。

巨大な絵を抱えて電車に乗るのはいつも少し恥ずかしい。

1メートル以上もの大きな絵を、自分の意思で描きたくて描いてしまうなんて、主張が過ぎる、うかれている人という感じがするから。

絵を描いてる時はつらい時間のほうが長くて、つらくなるたびに、これで最後にしよう、この膨大な自分だけの時間を、家族や友達や恋人を喜ばせる時間にまわそう。と思うけれど、

たいてい描き終わる頃には気分がよくなっていて、次は何描こうかなあと考えている。

描いている最中、ずっと絵の中の女と話していた。

脱毛のこと、友達のこと、日々の腹立ちのこととか、そうとう喋ってしまった。

ひとりごとも相手がいると弾むみたいだ。

バイトの帰り道、爪みたいな月が出ていた。

乱視だから16個くらいに見えた。

夜、歩道橋から、下の道路を見るのが好きだと思った。

光が動くのが綺麗だし、車が小さくてつるつるでかわいい。

今年のクリスマス会のプレゼント交換では、最高にかわいいミニカーを探して回そうかな。

シチューは、よく混ぜないと変な感じになるということを学んだ。