ひかる
あこがれの女の子が、遊びに誘ってくれた。
こんなに、ひとりぽっちで、あたたかい夜の、22時半から。
19歳の春に友達になったふたりが、24歳になって、こうやってまた、今も、あそべるなんて、なんて素敵なことなんだろう。
どきどきする。手がふるえる。おしっこが漏れそうだ。
仕事はぜんぶ放ってきちゃった。
焦って、てぶらで電車に乗っちゃったから、渋谷までが永遠みたく長いよ。
なんだかさ、今日は、素直にしゃべれるきがする。
ずっと謝りたかったことも、謝れるきがする。
でも謝らなくてもいいのかな。わかんないや。
ずっと言ってなかった、ありがとうを、たくさん言おう。
絵のこと、恋のこと、大学の頃のこと、最近のこと、これからのこと、話そう。
どうせ顔見たら緊張しちゃって、あんまり正直にしゃべれないんだろうな。
でも、ここ最近のわたしって、とてつもなく、素直なんだよ。
大丈夫かもしれない。
終電までの2時間くらい。
こんなにどきどきする2時間が、あったかなあ。
大人は、使える時間がかぎられているからせめて、自分が大切におもう時間でどけは、健康なこどもみたいに一瞬一瞬をきらめかせることができたらいいね。
どうか今夜は、渋谷に、終電、なかなかこないでね。